[geometry-ml:00847] 第 11 回 数学連携サロン開催案内( 5 月 12 日)
Yuki TAKAGI
takagi @ math.sci.hokudai.ac.jp
2009年 4月 30日 (木) 15:46:30 JST
各 位
北海道大学・数学連携研究センターでは、毛利哲夫教授(北大大学院工学研究
科)を囲んで第11回数学連携サロンを下記のとおり開催いたします。
多数の皆様のご参加をお待ちしております。
**本案内が重複して送信されている方におかれましては何卒ご容赦お願いいたし
ます。
記
日時: 5月12日(火)16:30〜
会場: 北海道大学・電子科学研究所 1階会議室
講演者: 毛利 哲夫 教授(北海道大学・工学研究科)
タイトル:材料強度と材料組織形成のマルチスケール数理
アブストラクト:
強靭な合金材料の開発は、大は超高層ビルディングやパイプライン、宇宙船や航
空機等の先端輸送機器から、小はパソコンの筐体に至るまで、社会を支える基板
材料の問題として、材料工学における喫緊の課題である。
言うまでもなく合金の基本構造、即ち、結晶構造はミクロな電子の振る舞いによ
り決定され、マクロな実用材料の強度は弾性論を始めとする連続体力学の範疇で
論じられるものである。
しかし、合金の強度を決定しているのは単なる原子間の結合力ではなく、結晶に
含まれる転位線といわれる欠陥の多様な挙動による。転位線は結晶の1cm3当たり
全長106〜1012cmも含まれるものであるが、このような転位線が互いに相互作用
しながら、析出物や結晶粒界等で形成される内部組織の中を運動することによっ
て材料の変形が生じている。従って、材料の強度を制御・設計するためには、内
部組織の最適化と転位運動の制御が必須である。
析出物、結晶粒界等の内部組織は、光学顕微鏡や通常の透過型電子顕微鏡で観察
できるスケール領域のものであり、その形成過程においてはナノ・ミクロ領域に
おける原子や電子の振る舞いが直接反映されるものではない。従ってシュレディ
ンガー方程式を厳密に解くことはこの領域の現象の記述・解析には実効性を持た
ない。又、転位の振る舞いは決定論的なものであり、通常の熱力学・統計力学を
そのまま適用することはできない。しかし一方において、転位線と内部組織の相
互作用は、原子配列にまでさかのぼって結晶格子の離散性を陽に考慮せずしては
本質が理解できない。つまり材料強度の問題はミクロ領域における統計力学・量
子力学と、マクロ領域における連続体力学の適用領域の「狭間」にあり、有効な
記述の手法が欠落しているのが現状である。
我々の研究室で行っている弦モデルに基づく単一転位線の挙動の解析、拡散反応
方程式に基づく転位の集団挙動の計算、規則―不規則変態に対するクラスター変
分法及びフェーズフィールド法の計算などを示し、材料強度の予測に対するマル
チスケール解析の重要性や問題点を指摘する。
数学連携サロンHP
http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/center/activities/RCIMS_seminar.html.ja
連絡先:
北海道大学数学連携研究センター 事務担当:高木由紀(内:9455)
外線 & ファックス:011-706-9450
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