[geometry-ml:01403] 連続講演のお知らせ
Takao Yamaguchi
takao @ math.tsukuba.ac.jp
2012年 1月 25日 (水) 22:48:24 JST
幾何学メーリングリストの皆様
九州大学の本多正平氏による連続講演(インフォーマルセミナー)
を下記のとおり行いますのでご案内いたします。
講師 本多正平氏 (九州大学数理学研究院)
場所 筑波大学 自然系学系D棟 D814室
http://www.math.tsukuba.ac.jp/~diffgeom/map.html
期日 2月13日、14日
初回は13日 13:30から
【講演タイトル】Ricci曲率が下に有界なRiemann多様体の極限空間について.
【アブストラクト】Ricci曲率が一様に下に有界な,次元が一定のRiemann多様体列を考える.
ここから適当に部分列を抜くと,一般に特異性を持つある距離空間$X$にGromov-Hausdorff
収束することが知られている.この$X$について得られた最近のいくつかの結果について紹介する.
具体的に紹介する結果の一つは次である:
$X$上に始点が同じである二つの測地線を考え,その間の角度が定義できるか,という問いを考える.
この問いは$X$を調べるにあたって基本的な問いの一つである.
だが,一般には$X$の各点における接空間が一意に決まらないことから,それは難しいと考えられていた.
しかし最近のColding-Naberの仕事によって,次のような大変興味深い$X$の例が与えられた:
「各点における接空間は一意で,それはEuclid空間であるが,ある点が存在して,その点から
出発する任意の二つの異なる測地線において,その間の角度をうまく定義することができない.」
特に,接空間の一意性と角度が定義できるかどうかは,一般には関係がないことがわかる.
この講演では,このColding-Naberの例が特殊な例であることを示す.
具体的には,$X$が崩壊した極限空間であっても,特異点から始まる測地線であっても,
適切な条件を満たせば必ず角度は定義でき,そしてその適切な条件とはほとんどいたるところ
成り立つことを示す.
皆様のご参加を歓迎いたします。
山口孝男
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