[geometry-ml:01014] トーリックミラー対称性, Borcherds 無限積 , ヤコビの三重積公式、
Tanabe Susumu
stanabe @ kumamoto-u.ac.jp
2010年 2月 1日 (月) 23:32:25 JST
以下の要領で熊本大学数理科学講座にて集中講義を行います。
講師:入谷寛氏(九州大学)
場所:熊本大学DC棟2階203B 教室、
トーリックミラー対称性,振動積分,量子コホモロジーI 内容(下記)
2月18日(木)16:10- 17:40
トーリックミラー対称性,振動積分,量子コホモロジーII 内容(下記)
2月19日(金) 14:30-16:00
トーリックミラー対称性,振動積分,量子コホモロジーIII 内容(下記)
2月19日(金) 16:10-17:40
講師:青木宏樹氏(東京理科大学)
場所:熊本大学DC棟2階203B 教室
題目:「ヤコビの三重積公式について」 内容(下記)
2月22日 16:30−18:00
題目:「Borcherds 無限積についてI,II」内容(下記)
時間数:3時間 (I 2月23日 16:30−18:00、II 2月24日14:30−16:00)
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講演題目:トーリックミラー対称性,振動積分,量子コホモロジー
講演内容:
ミラー対称性において,トーリック多様体のミラー双対は
Landau-Ginzburg ポテンシャルと呼ばれるローラン多項式
により与えられることが知られている(Givental, Hori-Vafa).
Landau-Ginzburgポテンシャルを位相関数とする振動積分
はGel'fand-Kapranov-Zelevinsky型の超幾何微分方程式を
満たし,B-model におけるD加群を定める.ミラー対称性は
このB-model D加群がトーリック多様体の量子コホモロジー
の定めるA-model D加群と同型であることを主張する.
本講演ではこのB-model D加群について詳しく調べたい.
とくに
(i) 一般化されたHodge構造の変動(semi-infinite
variation of Hodge structures) や
Saito-Frobenius構造との関係
(ii) 整数上の構造(Borisov-HorjaによるトーリックK理論
と超幾何方程式の解空間との同一視)
について述べる.時間が許せばトーリックK理論における
自然な関手性(押し出し,引き戻し,Fourier-Mukai変換)
がD加群でどのように現れるかについても述べたい.
講演総時間数: 3時間
(1)Borcherds 無限積について
デデキントのエータ関数、あるいはラマヌジャンのデルタ関数は、
保型性を持ち、また、非常にシンプルな無限積で表示されることが
古くから知られている。Borcherds は、それを拡張し、
IV型領域上の保型形式を無限積で構成することにより、
ムーンシャイン予想を解決した。
この Borcherds による無限積を用いた保型形式の構成法は
非常に良い結果で、様々な方面に応用がなされている。
講義では、Borcherds による無限積を用いた保型形式の構成法を
解説すると共に、様々な方面への応用を紹介したい。
(2)ヤコビの三重積公式について
ヤコビの三重積公式は、「無限積=無限和」という形をした
不思議な恒等式である。
そのステートメントは極めて平易である一方、証明は意外と難しい。
講義では、その初等的(組み合わせ論的)な証明をいくつか解説すると共に、
公式の保型形式への応用(三重積公式を用いたエータ関数の保型性の証明)を述
べる。
保型形式論から組み合わせ論への応用はいろいろと知られているが、
逆方向への応用はあまりなく、講義の内容はそのひとつの試みである。
三重積公式はアフィンリー環の分母公式とも解釈でき、また、
ヤコビ形式の無限積による構成(Borcherdsの結果)とも関連がある。
講義で扱う内容はローカルにはすべて既知のことであるが、
このような観点からの今後の拡張可能性についても触れてみたい。
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世話役:田邊晋
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